昨今、トレンドの「マッチング」を軸とした事業やサービスを新たに展開する際に、まず必要となるのがマッチングアプリもしくはマッチングサイトです。

店舗紹介ページやショッピングページとは異なり、マッチングアプリには非常に多くの、かつ複雑な機能が求められます。

そのため、実績のあるシステム開発会社やアプリ制作会社に依頼するのが、最も確実で手っ取り早い方法といえます。ただし、他社に依頼する場合、高額な開発費用がかかり、時にはアプリに対する希望が十分に反映されないケースもあります。

開発費用をできるだけ抑えながら、より自由度の高い理想のマッチングアプリを制作したいと考えるなら、個人でのマッチングアプリ開発を選択肢の一つとしてもいいでしょう。最近ではプログラミングの知識を必要としないノーコード開発ツールの性能も飛躍的に向上し、個人でのマッチングアプリ開発を後押ししてくれています。

本記事では、マッチングアプリを個人で開発する際の手順や必要なツール、開発工程における費用、マッチングアプリ開発における注意点について紹介していきます。

マッチングアプリは個人でも開発可能

マッチングアプリをはじめとするアプリ開発には、これまで高いプログラミング技術が必要とされてきました。特にアプリケーションストアを介してダウンロードするネイティブアプリは、ダウンロード不要のWebアプリ以上に複雑なプログラミングを要します。

しかし近年、モバイルアプリケーションのためのノーコード開発ツール「FlutterFlow」などの登場により、プログラミング不要な直感的操作でのマッチングアプリ開発が可能となりました。

こうしたノーコード開発ツールは、個人のマッチングアプリ開発をサポートするだけでなく、アプリ開発にかかる費用や工数を大幅に削減できると注目を集めています。

アプリ開発に必要なプログラミング学習方法は?

ノーコード開発ツールを用いれば、プログラミング不要でマッチングアプリを開発できることを紹介しましたが、アプリの構造や仕組みを理解するために、最低限のプログラミング知識は身につけておいた方がいいでしょう。

主な学習方法は、以下が挙げられます。

●プログラミング関連の書籍で学ぶ

●プログラミング学習用のアプリ・Webサイト・動画などを利用する

●プログラミングスクールに通う

●アプリ開発を行うプログラマーやエンジニアが集まるコミュニティに参加する

プログラミングスクールは、オンライン対応のスクールも多く、好きな時間に好きな場所でプログラミングが学べます。

特にTech Mentorは、「仕事につながる」プログラミングスクールとして有名です。
よく「プログラミングスクール出身は転職しにくい」と言われたりしますが、Tech Mentorはその部分を払拭しています。
ただ、人によっては「エンジニアが合わない」という方もいるので、まずは自分がやりたいこととマッチしているのかカウンセリングで確かめてから申し込みましょう。

コミュニティに参加したい場合は、FlutterFlow専門Webメディア兼コミュニティ「FlutterFlow Cafe」がおすすめです。開発に役立つTipsはもちろん、FlutterFlowを使ったアプリケーション開発に興味を持つ人々が集まり、学びと交流ができるSlackオンラインコミュニティも用意されています。

質問や相談などが完全無料で利用できるため、ノーコード開発ツール「FlutterFlow」に興味がある方、学びを深めたい方はぜひ参加してみましょう。

プログラミングの学習期間は?

プログラミングの初心者が基礎を習得する場合、学習にかかる時間はおよそ250〜300時間とされています。さらに、実践で応用できるレベルに達するには1,000時間を要するとも言われます。

比較的、学びやすいとされているプログラミング言語「Python」でも、アプリ開発ができるようになるまでには300〜400時間ほどを見込んでおく必要があります。毎日休まず1日3時間を学習にあてたとしても約100〜130日、3〜4カ月はかかる計算になります。

アプリのリリースまで、そこまで時間をかけられない方は、まずノーコード開発ツールの利用から始めることをおすすめします。

たとえば「FlutterFlow」は有料版に限り、ソースコードのダウンロードが可能です。プログラミングについて基礎的な学習を進めると同時に「FlutterFlow」でマッチングアプリ開発を行い、機能拡張や修正が必要になったタイミングでソースコードをダウンロードし、プログラミングで変更を加えていく、といった手もあります。

マッチングアプリをリリースしたい時期を考慮し、ベストな手法を探りましょう。

マッチングアプリの開発手順

app design, technology and business concept – web designer or developer with sketches and laptop computer working on user interface at office

マッチングアプリ開発は、企画→要件定義→設計→開発工程→動作確認→リリースの流れで進行します。個人でマッチングアプリ開発をする場合を想定し、各工程を一つひとつ確認していきましょう。

【1】マッチングアプリの企画

どのようなマッチングアプリを開発したいのか、アイデア出しや企画を行います。ここでマッチングアプリの大まかな目的や全体像を捉えていきます。

現在のマッチングアプリ市場は活況で、競合がひしめき合っているため、差別化や独自性が求められます。マッチングアプリで解決したい社会課題や、他社にはないオリジナリティを追求することが重要です。

【2】要件定義

アイデアや企画をどのようにマッチングアプリに落とし込んでいくのかを決定します。ターゲットを明確にし、マッチングアプリが目指すゴールに向けて、必要な機能も洗い出していきます。

要件定義は、マッチングアプリを完成へ導く指針となる重要な工程です。マッチングアプリの概要に加え、アプリ開発手法やUI/UXなどシステム面も固めておきましょう。

この段階でノーコードで実装可能か、ノーコード以外の開発手法が必要かなども確認します。

【3】設計

要件定義に沿って、設計書を作成します。開発ツールやプログラミング言語の選択、機能を実装するために必要な開発手法などを決めていきます。

【4】バックエンドの実装

バックエンドとは、ユーザーの目に見えないサーバーサイドの領域を指します。バックエンドの実装では、サーバー側の処理に関する開発や構築を行っていきます。具体的には会員登録やログイン、決済に伴う個人情報の読み込みなどです。

【5】フロントエンドの実装

フロントエンドとは、ユーザーが操作を行う画面を指します。アプリの画面デザインはもちろん、画面遷移、サーバー側へのデータ送信、ブラウザのデータ保存など、多岐に渡ります。

【6】テストとデバッグ

最後に、アプリの動作や操作性に問題がないかをテストで細かくチェックしていきます。その後、テストで見つかったエラーや不具合、誤作動などを修正します(デバッグ)。

マッチングアプリの品質を守るだけでなく、アプリケーションストア審査のクリアに向けた最終確認でもあります。できれば、本番に近い利用環境で動作を確認する「受け入れテスト(UAT:User Acceptance Test)」まで実施しましょう。

マッチングアプリ開発〜完成〜運用にかかる費用

マッチングアプリ開発にかかる総費用

マッチングアプリをシステム開発会社やアプリ制作会社に依頼した場合の費用相場は、一般的に400〜600万円とされています。機能を充実させると約1,000万円以上の開発費用がかかることもあります。

一方、マッチングアプリを個人で開発する場合、こうした開発費用を大幅に削減することが可能です。個人でのマッチングアプリ開発に必要な費用を改めて確認しておきましょう。

【1】アプリ開発費用

パソコンやスマートフォンを新たに用意する場合は約20〜30万円がかかります。開発ツールは無料版もありますが、本格的なアプリを開発したいなら有料版をおすすめします。たとえば、ノーコード開発ツール「FlutterFlow」のStandardプランは月額30ドル、Proプランは月額70ドルで利用できます。

【2】サーバー費用

サーバーは、大きく「開発」「ステージング」「本番」の3つが挙げられます。サーバーのレンタル費用相場は1,000円~数万円と幅があり、維持費に年間30万円ほどかかる場合もあります。

マッチングアプリは他のアプリに比べ、サーバー負荷を予測しにくい特徴もあるため、目標とするユーザー数も考慮しながら慎重にサーバーを選定しましょう。

【3】定期メンテナンス費用

マッチングアプリはリリースして終了ではありません。リリース後のバグ修正やメンテナンスをはじめとする運用・保守も必須です。ユーザーの意見を反映した機能の追加・拡張も必要となってくるでしょう。

メンテナンス費用は、発生する不具合やそれにかかる工数にもよるため、一概には言えませんが、アプリの毎月の保守費用が10万円を超えるケースも少なくありません。

メンテナンスの予算をオーバーして慌てることがないよう、運用・保守費用は余裕をもって見積もっておくことをおすすめします。

【4】マーケティング費用

マッチングアプリは他のアプリに比べ、プロモーションの難易度が高いとされています。誰かと誰かをマッチングさせるためには、初めから、ある程度のユーザー数が必要となってくるからです。

まずは大々的にプロモーションを行い、ユーザーを囲い込む必要があります。そのため、マーケティング費用は十分に用意しておきましょう。

より多くの目に触れるCM動画や広告の出稿はもちろん、タレントやインフルエンサーの起用も有効です。

マッチングアプリ開発ができる言語・ツールは?

iPhoneなどのiOS向けのマッチングアプリ開発に使われる言語は「Swift」や「Objective-C」など、Android向けでは「Kotlin」や「Java」などです。

マッチングアプリ開発ができる代表的なツールは、ノーコードでは「Adalo」や「Bubble」、「FlutterFlow」などで、必要最小限のソースコード記述が求められるローコードでは「Microsoft PowerApps」、「Monaca」などが挙げられます。

先ほど、iOSとAndroidそれぞれの開発言語を紹介しましたが、最近ではiOSとAndroid両方のアプリを同時に開発できるクロスプラットフォーム開発も人気です。

開発ツール、開発言語ごとに、できることや特徴が全く異なるため、自身のプログラミングスキル、搭載したい機能、アプリの動作環境などを考えて、ベストな言語およびツールを選定しましょう。

マッチングアプリ開発における注意点

最後に、個人でマッチングアプリを開発する場合に見落としがちなポイントについて紹介します。

リリース前にユーザーを集めておく

マッチングを成立させ、かつ精度を高めるためには、ある程度のユーザー数が必要です。現在、市場には数多くのマッチングアプリが存在し、競合がひしめき合っている状態です。マッチングアプリに満足できなかったユーザーは、すぐに他社へ映り、二度とサービスに戻ってくることはないでしょう。

マッチングアプリに登録したユーザーを失望させないよう、できればアプリのリリース前からユーザーを集める大々的なプロモーションを展開しましょう。

リリース前のプロモーションはユーザーの囲い込みだけでなく、ユーザーの高揚感やアプリへの期待感を高める狙いもあります。

目標となるユーザー数を定めておき、ゴールに向けて、プロモーションやマーケティングにかける費用を惜しまないことが重要です。

セキュリティリスク対策をしておく

多くのマッチングアプリの登場で利用者は急増したものの、依然としてマッチングアプリに不安を感じているユーザーが多いのも事実です。

利用者を対象としたアンケートでは、53.6%が安心・安全面に何かしらの不安を抱いていると回答しました。

評価分かれるマッチングアプリ。53%が安心・安全に不安|PR TIMES(株式会社ブランド総合研究所)

ユーザーが安心して利用できるマッチングアプリを目指し、セキュリティ対策に万全を期するのはもちろん、想定されるリスクも事前に洗い出しておきましょう

なかには運営側が気づかず、見逃し続けてしまうトラブルもあります。「利用時にトラブルや困ったこと等があったときの問い合わせや相談状況」のデータによると、23%がマッチングアプリ運営事業者に相談したと回答する一方、65.2%が問い合わせや相談をしなかったと回答しています。

マッチングアプリの 利用状況に関するアンケート結果|三菱UFJリサーチ&コンサルティング

こうしたユーザーは声を上げないまま、マッチングアプリに不満を感じ、退会していきます。直接上がってくるユーザーの声に耳を傾けるだけでなく、その他にも不満が潜んでいることを念頭におき、定期的にセキュリティ面の強化を図っていきましょう。

サーバー費用の見直し

マッチングアプリは機能拡張やユーザー数の増加などでサーバーダウンを起こす可能性があります。予期せぬサーバーダウンを防ぐためにも、定期的にサーバー負荷の確認やサーバーの見直しを行いましょう。

逆に必要なスペック以上のサーバーを契約し続けることで、サーバー費用を無駄にかけてしまう、といったケースもあります。サーバー費用はランニングコストであるため、最適なサーバーを都度、検討し直すことが大切です。

最後に

ノーコード開発ツールを活用することで、個人でもマッチングアプリ開発が可能なことを解説しました。

モバイルアプリケーションのためのノーコード開発ツール「FlutterFlow」なら、ソースコードの記述を一切必要とせず、ドラッグ&ドロップのシンプルな操作で、複雑な機能を実装可能です。さらに、Webアプリ、Androidアプリ、iOSアプリの同時開発で、マッチングアプリ開発にかかる工数と費用を大幅に削減できます。

FlutterFlow専門Webメディア兼コミュニティ「FlutterFlow Cafe」への参加を通して、ノーコードへの学びを深めながら、より完成度の高いマッチングアプリ開発を目指しましょう。