マッチングビジネスで起業するには?:成功事例やポイントを解説
近年、Airbnb(エアビーアンドビー)やUber(ウーバー)といった世界的に成功したマッチングビジネスの例に触発され、多くの起業家がマッチングビジネスに挑戦しています。
日本国内でも、クラウドワークスやココナラなどが急成長を遂げ、上場する会社も出てきています。
しかし、両面市場の構築や信頼性の確保、競合との差別化など、乗り越えるべきハードルは少なくありません。
本記事では、マッチングビジネスで起業を考えている方に向けて、その定義から市場動向、成功のポイントまでを詳しく解説します。
1. マッチングビジネスとは:定義と市場動向
マッチングビジネスの定義と代表例
マッチングビジネスとは、異なるニーズを持つ2つ以上のグループをオンラインプラットフォーム上で結びつけ、取引や交流を促進するビジネスモデルです。具体的には以下のような例が挙げられます:
- 求人・求職マッチング:Indeed(インディード)、LinkedIn(リンクトイン)
- フリーランス・クライアントマッチング:クラウドワークス、ランサーズ
- 宿泊施設・旅行者マッチング:Airbnb(エアビーアンドビー)、Booking.com(ブッキングドットコム)
- 配車サービス:Uber(ウーバー)、DiDi(ディディ)
- スキル売買:ココナラ、タイムチケット
- 恋愛・婚活:Pairs(ペアーズ)、Omiai(オミアイ)
これらのサービスに共通するのは、プラットフォームを通じて異なるユーザーグループ間の情報の非対称性を解消し、効率的なマッチングを実現している点です。
市場規模と成長率
マッチングビジネスの市場規模は、分野によって大きく異なりますが、全体として急速な成長を続けています。
- シェアリングエコノミー市場:シェアリングエコノミー協会の調査によると、2022年度の国内シェアリングエコノミー市場規模は2兆6,158億円で、2032年度には15兆1,165億円に達すると予測されています。
参考:【シェアリングエコノミー市場調査 2022年版】|SHARING ECONOMY ASSOCIATION JAPAN - ビジネスマッチング市場:ミック経済研究所の調査では、2022年度の国内ビジネスマッチング市場規模は228億円で、2027年度には555億円に成長すると見込まれています。
参考:コロナ禍で拡大した国内ビジネスマッチングプラットフォーム市場の現状と展望【2022年版】|デロイトトーマツミック研究所 - オンラインデーティングサービス市場:株式会社タップルと株式会社デジタルインファクトの共同調査では、2023年の国内オンラインデーティングサービス市場規模は約788億円の見通しで、2028年には860億円と予測されています。
参考:マッチングアプリ「タップル」、国内オンライン恋活・婚活マッチングサービスの市場調査を実施|株式会社タップルPR TIMES
これらの数字が示すように、マッチングビジネスの市場は今後も拡大が続くと見られています。
注目されている分野
現在、特に注目を集めているマッチングビジネスの分野には以下のようなものがあります:
- 副業・フリーランスマッチング:株式会社みらいワークスの「フリーコンサルタント.jp」やランサーズ社の「ランサーズエージェント」など、高スキル人材と企業のマッチングサービスが急成長しています。
- 地方創生・関係人口マッチング:「SMOUT(スマウト)」や「LOCAL MATCH」など、地方と都市部の人材をマッチングするサービスが挙げられます。
- シニア向けマッチング:高齢化社会を背景に、「シニアジョブ」や「シニア求人ナビ」など、シニア世代の就業や生活支援に特化したマッチングサービスが注目を集めています。
- 教育・学習マッチング:「ストアカ」や「ココナラ」など、個人のスキルや知識を活かした教育マッチングプラットフォームが拡大しています。
- 医療・介護マッチング:「カイゴジョブ」や「スケッター」など、医療・介護人材と施設をマッチングするサービスの需要が高まっています。
マッチングビジネスの難しさと課題
マッチングビジネスには独特の難しさがあります。主な課題は以下の通りです。
両面市場の構築
課題:供給側と需要側の両方のユーザーを同時に集める必要がある
例:求人サイトでは、求職者と企業の両方を集めなければならない
信頼性の確保
課題:見知らぬ者同士をマッチングするため、プラットフォームの信頼性が重要
対策例:
a) ユーザー評価システムの導入(例:Uber(ウーバー)のドライバー評価)
b) 本人確認システムの実装(例:マッチングアプリTinderの写真認証)
競合との差別化
課題:参入障壁が低いため、類似サービスが増えやすい
差別化例:
a) ココナラの「スキルマーケット」という独自コンセプト
b) Pairsのマッチングアルゴリズムの精度向上
法規制への対応
課題:新しいビジネスモデルのため、既存の法規制との整合性が問題になることがある
例:
a) Uberの日本でのタクシー事業規制への対応
b) Airbnbの各国での宿泊業法への対応
これらの課題に対処するためには、法律や規制に関する十分な知識と、迅速な対応力が求められます。
参考:シェアリングエコノミー協会「シェアリングエコノミー関連ガイドライン」
2.マッチングビジネスでの起業成功のための6つのポイント
マッチングビジネスでの起業成功のための5つの重要なポイントを詳しく解説していきます。
1.テストマーケティングを想定した開発ディレクション
マッチングビジネスは、参入障壁が低いとはいえ、最低でも数百〜1,000万円以上の開発費用がかかるビジネスです。
開発の成功したとしても、供給側と需要側の集客がうまくいかなければ元も子もありません。
よって、まずは最低限の機能を搭載したMVP(Minimum Viable Product)をつくり、テストマーケティングにコストをかけてみましょう。
MVP開発には、FlutterFlowのようなノーコード/ローコードツールもおすすめです。
こちらの記事では、FlutterFlowを使ってマッチングアプリの一部機能を実装する方法を紹介しています。
また、マッチングアプリ開発実績が豊富な株式会社ランデストへの依頼もぜひご検討ください。
1. 明確な課題設定とターゲット分析
まずマッチングビジネスで起業するにあたり考えなければならないことは、「解決すべき明確な課題を特定し、ターゲットユーザーを深く理解すること」です。
徹底的に市場調査を行い、ペルソナを作成してユーザーの行動パターンを分析します。また、競合他社の強みと弱みを把握することで、自社の位置づけを明確にします。
2. 独自の価値提供と差別化戦略
競合との差別化は、マッチングビジネスの成功に不可欠です。ユニークな機能や特徴を開発し、ニッチ市場への特化を検討します。
また、優れたユーザー体験を提供することで、競合サービスとの明確な違いを生み出します。
3. 使いやすいプラットフォーム設計
ユーザーにとって使いやすいプラットフォームを設計することが重要です。直感的なUI/UXデザインを心がけ、
モバイルファーストの設計を採用します。さらに、パフォーマンスの最適化を行い、ストレスのない利用環境を提供します。
4. 効果的なユーザー獲得戦略
両面市場の特性上、供給側と需要側の両方のユーザーを効果的に獲得する必要があります。
SEO/SEM戦略の立案、ソーシャルメディアマーケティングの活用、インフルエンサーマーケティング、
紹介プログラムの導入など、多角的なアプローチを検討します。
5. 適切な収益モデルの構築
持続可能なマッチングビジネスを構築するために、儲かる収益モデルを選択することが重要です。
手数料モデル、サブスクリプションモデル、フリーミアムモデル、広告モデルなど、ビジネスの特性に合わせた最適な収益モデルを検証しましょう。
3. マッチングビジネスの起業手順と将来性
マッチングビジネスを起業する際は、以下の手順を踏むことが一般的です。各ステップにおいて、具体的な事例や開発ツールの選定など、実践的な情報を交えて解説します。
1. 市場調査とビジネスプランの作成
まず、ターゲット市場の綿密な調査が不可欠です。
例えば、フリーランス市場に参入する場合、以下のような調査が必要です:
- フリーランスの人口動態
- 主要な競合サービス
- 潜在的な顧客ニーズ
調査結果を基に、ビジネスモデルキャンバスなどのツールを使ってビジネスプランを作成します。
2. プラットフォームの開発または選択
マッチングサービスの核となるプラットフォームの開発は、以下のような選択肢があります:
a) スクラッチ開発
- メリット:完全にカスタマイズ可能
- デメリット:開発コストと時間が高い
b) オープンソースソリューションの利用
- 例:Sharetribe(シェアトライブ)
- メリット:開発時間の短縮、コスト削減
- 実際の利用事例:日本の家事代行マッチングサービス「CaSy(カジー)」
c) ノーコード/ローコードプラットフォームの活用
- 例:Bubble(バブル)、FlutterFlow(フラッターフロー)
- メリット:プログラミング知識が少なくても開発可能
- 実際の利用事例:エンジニアマッチングサービス「Flexiple」
Bubble:https://bubble.io/
FlutterFlow:https://flutterflow.io/
3. 初期ユーザーの獲得とサービスローンチ
初期ユーザーの獲得は、マッチングビジネスの成功を左右する重要なステップです。以下のような戦略が効果的です:
a) インフルエンサーマーケティング
- 例:クラウドソーシングサービス「ランサーズ」は、著名なフリーランサーとのタイアップキャンペーンを実施
b) 紹介プログラム
- 例:配車サービス「Uber(ウーバー)」の紹介コードシステム
c) 無料トライアル期間の提供
- 例:ビジネスSNS「LinkedIn(リンクトイン)」の無料会員制度
参考:TechCrunch「How to solve the cold start problem for social networks」 https://techcrunch.com/2020/02/25/how-to-solve-the-cold-start-problem-for-social-networks/
4. AIやブロックチェーンの活用と今後の展望
マッチングビジネスの将来性を高めるため、最新技術の活用が重要です:
a) AI(人工知能)の活用
- 例:婚活マッチングアプリ「Pairs(ペアーズ)」のAIマッチング機能
- 効果:マッチング精度の向上、ユーザー満足度の増加
b) ブロックチェーン技術の導入
- 例:分散型ライドシェアプラットフォーム「Arcade City」
- 効果:セキュリティの向上、中央管理者不要の自律的なシステム運営
参考:Arcade City公式サイト https://arcade.city/
c) AR(拡張現実)/VR(仮想現実)の統合
効果:ユーザー体験の向上、遠隔地からのサービス利用促進
将来的な可能性:不動産マッチングサービスにおける物件の仮想内見など
まとめ
マッチングビジネスは、当たれば一攫千金の夢のあるビジネスです。
M&Aも盛んな業界で、「with」の運営会社であるイグニスの買付額は総額約500億円とも言われています。
マッチングビジネスを始める場合は、できるだけ初期コストを抑え、テストマーケティングや集客、運営に費用を回すのが理想的です。
アプリ開発会社ランデストでは、FlutterFlowを用いたマッチングアプリの構築を支援しています。
フルスクラッチよりもコストを抑えられ、UIUXに優れたアプリを開発できるため、ぜひ一度ご連絡ください。
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