「自社製品を開発したいが、失敗したくない」
「起業のアイディアはあるものの、お金にあまり余裕がない」

新規事業を始める際、このような不安・課題が頭をよぎります。
そんな課題を解決できるのがMVP開発です。

MVP開発とは、顧客に価値を提供できる最小限の機能を持ったプロダクトを指し、ITに限らずあらゆる業界のテストマーケティングに有効な打ち手です。

この記事では、MVP開発の事例やメリット・デメリット、注意しておきたい3つのポイントについても解説しています。

株式会社ランデストは、ノーコードのFlutterFlowを用いることで、無駄な開発コストを抑えたMVP開発が得意なIT企業です。

少しでも興味があれば、下記のリンクからお問い合わせください。

MVP(Minimum Viable Product)開発とは?

MVP開発とは、ユーザーに価値提供できる最低限の機能を持ったプロダクト開発を指します。
具体的には、必要最低限だけの開発を行った上でリリースし、ユーザーからのフィードバックを取り入れ繰り返し改善していく手法です。

似たような概念として挙げられる「リーンスタートアップ」との違いも解説していきます。

そもそもMVPとは?

MVPとは、Minimum Viable Productの略で、提供したい価値はブラさずに、必要最小限の機能を持つプロダクトです。

プロダクト事業は「製品を開発して終わり」ではなく、その事業を継続していくことの方が難しいです。
初期プロダクトの開発費用が膨らむと、仮説が外れていた際に大きな損失を生むリスクがあります。

MVPをまずは開発・製造し、ターゲット顧客に実際に使ってもらったり、先に営業をかけたりすることで、「思ったよりも需要がなかった」「少しズレた仮説になってしまっていた」「この機能はいらない」といった生のフィードバックを得られます。

そのフィードバックをもとに繰り返し修正し、追加機能の開発や改善を積み重ねていく方が、プロダクト開発の失敗も避けられ、完成形に至るスピードも上げられます。

リーンスタートアップとの違いは?

リーンスタートアップとは、リーン(lean/ 痩せた、細い)とスタートアップが掛け合わさった造語で、無駄を削ぎ落とし、新規事業の成功確率を上げるビジネスモデルです。
アメリカの起業家エリック・リース氏が、2011年に提唱・出版したことでも話題になりました。

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そもそものリーンスタートアップの起源は、「ムダを徹底的になくして、よいものを安く、タイムリーにお客様にお届けする」というトヨタ自動車の生産方式(TPS)とされています。
リーンスタートアップは、「仮説構築」「計測・実験」「学習」「再構築」の大きく4ステップで進行され、MVPはその4ステップに欠かせない重要な要素として捉えられています。

MVP開発の3つのメリットとは?

MVP開発の主なメリットは、下記の3つです。

  • コストを抑えられる
  • 素早くリリースできる
  • 顧客のニーズを把握できる

MVP開発の概要については理解できたと思いますが、どのようなメリットがあるのかまだ分からない方も多いでしょう。

そこで、MVP開発の3つのメリットについて解説していきます。

コストを抑えられる

MVP開発の1つ目のメリットは、コストを抑えられることです。

従来の開発方法は、一般的にプロダクトを完成させてから検証を行うため、欠陥が見つかった場合には開発コストが無駄になる場合もあります。

一方、MVP開発は機能を最小限にして開発を進めるため、修正点や改善点があればその都度変更できます

完成前にユーザーからのフィードバックを得られることもあり、大きなコストをかけることなく方向修正が可能な点はメリットの1つです。

素早くリリースできる

MVP開発の2つ目のメリットは、素早くリリースできることです。

MVP開発は、必要最小限の機能のみでリリースするため、通常の製品に比べて早くユーザーへの提供が可能です。

また、新たな機能を開発中に競合他社が似たような機能を搭載した製品をリリースする可能性もあります。

その点、MVP開発では方向修正が容易なほか、いち早く市場にリリースすることで先行者利益の獲得も可能です。

顧客のニーズを把握できる

MVP開発の3つ目のメリットは、顧客のニーズを把握できることです。

前述の通りMVP開発は最小限の機能のみでリリースします。

そのため、ユーザーの反応を確かめながら、フィードバックをもとに検証を繰り返しながら開発できます。都度ユーザーのニーズを把握した状態で開発を進められるため、ユーザーニーズへの理解も深まるでしょう。

顧客のニーズや技術の発展が著しい市場においては、MVP開発のメリットが最大限に活かされるといえます。

MVP開発の3つのデメリットとは?

MVP開発のデメリットは下記の3つです。

  • エンジニアが必要
  • 経営陣の理解を得られない可能性がある
  • 市場から悪い評価を受ける可能性がある

ここまでMVP開発のメリットについて解説してきましたが、もちろんデメリットも存在します。

デメリットを理解した上で開発を進めることで、より良い製品の開発にも繋がるでしょう。

それでは、MVP開発のデメリットについて解説していきます。

エンジニアが必要

MVP開発の1つ目のデメリットは、エンジニアが必要なことです。

MVP開発は、迅速にPDCAを回す必要のある手法のため、必然的に行うべきタスクが増えてしまう傾向にあります。

そのため、エンジニアのスキルによって進捗や成否が左右されることが多いです。

開発スキルはもちろん、コミュニケーションスキルや迅速な対応力や調整力も必要になるため、MVP開発に適応できるエンジニアがいなければスムーズに進行できない可能性も考えられます。

「どうしてもエンジニアを雇うことができない」「知り合いにエンジニアがいない」という場合は、自身でノーコードを活用してみるのがおすすめです。

特に、FlutterFlowであれば、Android/iOS/Webに対応したアプリを一括で開発できるため、無駄な開発コストを抑えられます。
詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

経営陣の理解を得られない可能性がある

MVP開発の2つ目のデメリットは、経営陣の理解を得られない可能性があることです。

MVP開発は、必要最小限のプロダクトに改善を繰り返すという手法であるため、従来の製品を完成させてからリリースするという考えと意見が食い違う可能性があります。

そのため、MVP開発の有効性や効率性を訴えることで、経営陣の理解を得る必要もあります。

市場から悪い評価をされる可能性がある

3つ目のデメリットは、市場から悪い評価をされる可能性がある点です。
必要最低限の機能でコストを抑えながら経営する、は企業側の都合であり、消費者にとって「そのプロダクトが価値のあるものかどうか」と全く関係ありません。

スピード優先でリリースしたからには、反響と同時にそれ相応のクレームも覚悟する必要があります。
to Bプロダクトで、知り合いの法人相手であれば、密なコミュニケーションを取ることで回避できますが、to Cプロダクトの場合は問答無用で評価されます。

例えば、新しいSNSをリリースした際、消費者は無意識にInstagramやLINEなど既存のSNSと比較し、アプリストアに低評価の口コミを書き込む可能性があります。

このリスクを回避したい方は、知り合い100人程にアプリをダウンロードしてもらい、「他の人におすすめしたいと思うか」「どういう点が使いにくいか」を聞いてみるのも良いでしょう。

よく使われるMVP開発の手法5選

MVP開発の主な手法を5つご紹介します。

  • ①プロトタイプ
  • ②ランディングページ
  • ③オズの魔法使い
  • ④コンシェルジュ
  • ⑤スモークテスト

①プロトタイプ型

プロトタイプ型は、試作品にあたるプロダクトを利用して検証を行う手法のことです。

そのため、さまざまな利用シーンを想定した検証を行う際は、利用シーンごとにそれぞれの機能やデータを用意する必要があります。

近年では、ノーコードやローコード開発を活用することで、手軽にプロトタイプを作成できます。

プロトタイプとはいえ、実際に製品が存在するため、製品の使用感や機能性などをユーザーから評価してもらうことが可能です。

②ランディングページ型

ランディングページ(LP)型は、サービスや製品の提供前にサービス・製品の説明や価値などを説明したページ(LP)を使い、「事前に登録してくれるユーザーはどのぐらいいるのか」を検証できる手法です。

LPを制作するプロセスにおいても、顧客にとってわかりやすいキャッチコピーや機能の特徴を考えるため、開発したMVPの価値を整理したい場合にも有効な打ち手です。

最近では、LPをゼロから制作するスキルがなくとも、ノーコードでWebページを制作できるサービスも増えていているので、エンジニアのいないスタートアップは是非利用してみてはいかがでしょうか。

③オズの魔法使い型

オズの魔法使いは、システム構築前にシステム化予定の箇所を人間が対応し、検証する手法です。

ユーザーから見える部分は、完成版のようなUIになっており、バックエンドの処理は人間が行います。

開発名は、アメリカの文学作品「オズの魔法使い」から名付けられました。
本来システム化されているサイトに人間が介入することで、大規模な開発を行うリスクを事前に対応しています。

④コンシェルジュ

コンシェルジュは、プロダクト開発前にユーザー価値を確認するために、サービスへのニーズを検証する手法のことです。

コンシェルジュのように、数名の顧客から対面で意見をもらうことで検証を行います。
全行程をマニュアルで行う方法のため、手間はかかりますが、コストを抑えながら顧客の意見を直接収集できます。

⑤スモークテスト

スモークテストは、ユーザーがサービスに興味を示すかどうかを検証するために行う手法のことです。

主なテスト方法として、紹介動画やローンチ前に登録や購入などを募るプレオーダーという方法があります。

どちらの方法も、視聴回数や登録回数からすぐにユーザーの反応を確認できます。

MVP開発のプロセスとは?

MVP開発の具体的なプロセスは、下記の通りです。

  1. 目的を設定する
  2. 必要最小限の機能を検討する
  3. MVPを開発する
  4. 市場に出す
  5. 市場からフィードバックを得る
  6. フィードバックをもとに改善を行う
  7. 4~6のプロセスを繰り返し行う

従来の完成版からリリースする手法とは違い、必要な機能をその都度実装するため「ユーザーが何に対して興味があるのか」が明確になりやすいです。

そのため、新規事業においてユーザーからのフィードバックに対して、柔軟に対応しやすいプロセス作りを意識するのが重要です。

MVP開発の事例とは?代表的な2つを紹介

ここでは、MVP開発の2つの事例を紹介します。

  • 事例①Dropbox
  • 事例②BASE FOODiPhone

近年話題となっているBASE FOODにも、MVP開発が活用されています。知らない人はいないであろうiPhoneにもMVP開発が活用されています。

ぜひ参考にしてみてください。

事例①Dropbox

1つ目は、Dropboxの事例です。

Dropboxとは、世界中でシェアを獲得しているオンラインストレージサービスです。

Dropboxは、30秒ほどの紹介動画を活用することで、リリース前から5,000人以上の登録者を獲得していました。

実際に使われDropboxのMVP動画

その結果、提供予定のプロダクトがユーザーにとってニーズがあることを検証できました。

参考:Dropboxの事例

事例②BASE FOOD

2つ目は、IT企業ではなく、BASE FOODという健康食D2Cブランドの事例です。
BASE FOODとは、1食で1日に必要な栄養素の1/3がすべてとれる完全栄養食です。

当時28歳だった若者が、2016年に創業し、2022年2月に月間定期購入者数が10万人を超えたことでも話題になりました。最近では、コンビニエンスストアにも置かれています。

仕事と栄養バランスの両立が難しいと感じたことから開発に至り、ベースパスタは発売から4年で18回、ベースブレッドは発売から1年10ヶ月で13回もの改善を積み重ねています。

通常なら、「パスタの開発を外注しよう」と考えがちですが、BASEFOOD創業者は自らがキッチンに立ち、栄養成分の配合を考えながらパスタの開発に勤しみました。

開発を外注せず、自主勉強と専門家の力を借りながらMVPを開発した素晴らしい事例です。

参考:BASE FOODの事例

MVP開発における3つのポイントとは?

MVP開発を行う場合は、下記の3つのポイントを意識しましょう。

  • ポイント①MVP開発が適した手法か確認する
  • ポイント②MVP開発で検証する内容を明確にする
  • ポイント③完璧にこだわりすぎない

MVP開発にはいくつか注意しなければならないポイントがあります。

これから解説するポイントを意識して、MVP開発に活かしてください。

ポイント①MVP開発が適した手法か確認する

1つ目のポイントは、MVP開発が適した手法か確認することです。

前述の通り、MVP開発は複雑な開発や大規模な開発には向いていません。

また、すでにユーザーへの提供価値が明確な場合や最初から完璧な製品の作成を目的としている場合、MVP開発は不向きです。

一方、新規事業の開発や市場に出回っていない新たなサービスの開発にはMVP開発が向いています

向き・不向きを理解した上で最適な開発手法を選択しましょう。

ポイント②MVP開発で検証する内容を明確にする

2つ目のポイントは、MVP開発で検証する内容を明確にすることです。

MVP開発を行う上で、あらかじめ検証したい内容を明確にしておかなければ、なにを検証・改善すれば良いのかが明確にならないため、適切な修正が行えません。

そこで、MVPキャンパスと呼ばれる手法を活用することもおすすめです。

MVPキャンパスとは、次の10個の要素をもとに仮説検証の内容を決定します。

  1. 仮説
  2. 目的
  3. 方法
  4. データ / 条件
  5. どんなMVPを作成するのか
  6. コスト
  7. 時間
  8. リスク
  9. 結果
  10. 学び

上記をもとに検証内容を明確にした上でMVP開発を進めるようにしましょう。

ポイント③完璧にこだわりすぎない

3つ目のポイントは、完璧にこだわりすぎないことです。

MVPで検証を繰り返していくうちに、さまざまな機能を網羅した完璧な製品を目指してしまうというのはよくある失敗です。

完璧にこだわりすぎてしまうと、無駄に多くの機能を搭載したり、リリースまでの時間が長くなってしまい、MVP開発の良さを活かせません

そのため、完璧を求めすぎずに、期間を設定することでスピード感のある開発を進めることが重要です。

最後に

この記事では、MVP開発の意味について解説しました。

MVP開発には、素早くリリースできることやコストを抑えられるなどのメリットがある一方、市場から悪い評価をされるリスクもあります。

まずは、シンプルな機能のみを搭載したプロダクトを作り、それを元に営業して市場からのフィードバックを得ていきましょう。

株式会社ランデストは、従来の開発コストの3分の1以下の価格で、高品質なMVPを開発可能です。
「これから新規事業を立ち上げたい」「アプリ事業を始めたい」と考えている方は、ぜひご連絡ください。